ホーム » 感染症情報

感染症情報 最新情報

 

和歌山県感染症週報(WIDR)2017年第34週(8月21日~8月27日)※pdf

手足口病
 

手足口病(hand, foot, and mouth disease:HFMD)は、口腔粘膜および手や足などに現れる水疱性の発疹を主症状とした急性ウイルス性感染症であり、乳幼児を中心として夏季に流行する。手足口病の病原ウイルスは主にコクサッキーウイルスA16(CA16)、A6(CA6)、エンテロウイルス71(EV71)であり、コクサッキーウイルスA10(CA10)などによっても引き起こされることがある。基本的には数日の内に治癒する予後良好の疾患であり、不顕性感染例も存在する。しかしときに髄膜炎、稀ではあるが小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症など多彩な臨床症状を呈することがある。感染経路は主として接触感染と飛沫感染である。手足口病に対しては特異的な治療法はなく、対症療法が行われる。予防策としては、手洗いの励行と排泄物の適正な処理が基本である。水疱内容には感染性のあるウイルスが含まれているので、患者との濃厚な接触は避けるべきである。

 手足口病は、感染症発生動向調査において全国約3,000カ所の小児科定点医療機関が週単位での届出を求められる5類感染症の一つである(手足口病の届出基準)。小児科定点からの報告に基づくため、成人における動向は不明である。2017年は、第13週以降報告数の増加が続いており(※1:定点あたりの報告数)、第28週(2017年7月10〜16日)には定点当たり報告数は8.27(報告数25,968例:2017年7月19日現在)となった(第27週の定点当たり報告数は5.74)。また、第28週の定点当たり報告数は、昨年(同時期の定点当たり報告数0.73)を大きく上回る推移で増加しており、2017年第15週以降、過去5年間の同時期の平均と比較して定点当たり報告数が多い状態が続いている。地域別では、第24週から第28週までは、定点当たり報告数上位3位の都道府県は全て西日本で、この期間の週毎の上位3位は、三重県、滋賀県、兵庫県、鳥取県、香川県、高知県、宮崎県のいずれかであった。 第15週から第23週までは、九州からの報告が多くみられたが、第24週の定点当たり報告数上位3位は、香川県、高知県、宮崎県、第26週の同上位3位は、高知県、鳥取県、滋賀県、第28週の同上位3位は、兵庫県(17.47)、三重県(16.87)、高知県(16.47)の順であった。年齢群別では、2017年第1〜28週(累積報告数97,304例)では、男女共に1歳(38.8%)、2歳(20.5%)が大半を占めた。性別は男児が55%とやや多かった。この年齢分布・性差は、第24〜28週も同様であった。

 近年、手足口病の報告数は、年によって大きく異なり、2011年、2013年、2015年は報告数が多い年であった(※2 定点あたりの報告数)。 また、手足口病の患者から検出されたウイルスも年によって異なる。過去5年間で主に検出されたウイルスは、2012年にはEV71およびCA16、2013年はCA6およびEV71、2014年はCA16およびEV71、2015年はCA6およびCA16、2016年はCA6であった。2017年に最も多く検出されているウイルスもCA6であり、ウイルス検出報告339件中、CA6が190件(56%)と半数以上を占めている(2017年7月21日現在、手足口病由来ウイルス、年別2013〜2017年)。近年のCA6による手足口病では、従来の手足口病における臨床所見と比較して、CA16やEV71症例より水疱が大きいことや、手足口病発症後、数週間後に爪脱落が起こる症例(爪甲脱落症)が報告されてきた。

 手足口病は、我が国の学校保健安全法において、「学校において予防すべき感染症」として個別に規定はされておらず、流行の阻止を狙っての登校(園)停止は有効性が低く、不顕性感染や症状がなくなってからのウイルス排出期間が長いことからも現実的ではないと考えられている(※pdf)。患児の状態が安定していれば、登校(園)は可能であるが、症状が消失した後も2〜4週間にわたり児の便などからウイルスが排泄される。流行期の保育園や幼稚園などの乳幼児施設においては、手洗いの励行と排泄物の適正な処理、またタオルや遊具(おもちゃ等)を共用しないなどが感染予防対策となる。

 2017年の手足口病の報告数は昨年を大きく上回るペースで増加しており、これから多くの地域で流行のピークの時期を迎える事が予想されるため、その発生動向には注視し、各関係機関において感染予防対策を講じる必要がある。



感染症関連リンク